学習科学

双方向授業とは何か?メリット・デメリットやオンライン授業の形式も解説

2021.06.21

赤塚啓紀

所長

目次

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双方向授業とは?

双方向授業とは、その名のとおり教師と生徒が双方向のコミュニケーションを取りながら進める授業のことです。

従来の授業は、教師から生徒に対する一方的なものでした。生徒は教師の話を聞き、知識を習得します。獲得した知識を使うのは宿題での問題練習とテストのときだけで、コミュニケーションとして自らの意見を発する機会はあまりありませんでした。

一方、双方向授業では、生徒が意見を発信できる機会を多く設けます。教師が作る授業に生徒が参加するのではなく、生徒と教師が共に作りあげる授業と言えるでしょう。

双方向授業のメリット

双方向授業にはどのようなメリットがあるのでしょうか。

表現力を養える

双方向授業では生徒が自ら意見を発信します。そのため、自分の意見や考えを言葉にして伝える訓練になります。表現力は学校だけでなく社会に出てからも強く求められる能力であるため、これを養える点で双方向授業には大きな価値があります。

学習内容への理解を深められる

従来の授業では、授業についていけない生徒がそのまま放置されがちでした。しかし、双方向授業でコミュニケーションの機会が与えられれば、疑問点を口にすることができます。こうして疑問を教室で共有すれば、本人だけでなく他の生徒も学習内容への理解を深められるでしょう。

授業のペースを調節できる

これまでの授業では、教師が決めたペースで授業が進められていました。時にはそのペースが生徒にとって速すぎる、あるいは遅すぎることもありましたが、教師がそれを把握するのは困難でした。

しかし、双方向のコミュニケーションの機会があれば、教師は生徒の理解度を把握できます。伝わっていないところは丁寧に解説したり、理解が速いところは速やかに進めるなど、現状に即した堅実なペースの調節が可能になります。

授業に集中できる

人はただ一方的に話を聞くだけでは、途中で退屈してしまうものです。それが関心の薄い科目であればなおさらでしょう。そして、集中できないからこそ余計に理解が浅くなり、それがさらなる意欲の低下を招くという悪循環に陥ることがあります。

一方、双方向授業であれば生徒は自らも意見を発信することになるため、授業へ参加する姿勢が積極的になります。また、クラスメイトが積極的に意見を発する姿を見れば、良い刺激を受けることになるかもしれません。

双方向授業のデメリット

双方向授業には、以下のようなデメリットもあります。

学習ペースを維持しづらい

生徒の理解度に合わせて学習ペースを調節できるのはメリットである反面、教師にとってはデメリットでもあります。クラスの中に理解が遅い生徒が多ければ、その分授業のペースを下げて密度を高めなければなりませんが、これをしているとカリキュラムが予定どおり終わらない自体が懸念されます。生徒に合わせつつ、予定どおり授業を進められるよう、適切に緩急をつけて授業を進めなければなりません。

双方向授業が向いている人の特徴

双方向授業はどのような人に向いているのでしょうか。

自ら進んで考える力を持つ生徒

双方向授業では教師からだけでなく、生徒からも意見を発することになります。しかし、生徒側が積極的に意見を発表しなければ、双方向授業は成立しません。そして、生徒が意見を発表するには、そもそもその生徒に自ら進んで考える能力が備わっている必要があります。

そのため、まだ自分でしっかりと考え、それを言葉で発表できる段階ではない場合は、双方向授業は不向きです。たとえば、数学の授業において基礎事項を暗記していない段階で応用問題を解こうとしても、生徒は自分の意見を持つことができないでしょう。この場合は、知識を伝達するのに適した従来の授業で生徒に基礎・基本を習得させ、その後で双方向授業を試みたほうが良いと考えられます。

カリキュラムに余裕のある人

授業中に生徒からたくさんの質問が登場する様子を思い浮かべれば分かるとおり、その質問が多ければ多いほど授業の密度は高くなりますが、進捗は遅くなります。そのため、短期間のうちに何かを身に付けなければならないケースでは、双方向授業は不向きです。

たとえば、大学におけるゼミのように、解のない問題について深く考察するなら双方向性は重要となるでしょう。しかし、資格を取得するための勉強のように期限が定められている場合は悠長に進めるわけにはいきません。ある程度学習内容に疑問があっても、試験範囲の網羅を優先する必要があります。

一方的な授業では集中できない人

ずっと話を聞いていると、人は徐々に集中力を失います。ほとんどの人が、授業中に眠くなった経験があるのではないでしょうか。

しかし、自ら進んで意見を発表していれば、必然的に授業に対する関心が強くなり、集中力を維持しやすくなります。教室に適度な緊張感を維持できるでしょう。

オンライン授業における双方向授業とは?

双方向授業という言葉は、単に教師と生徒の間で双方向性がある授業のことだけでなく、オンライン授業の1形態を指す言葉としても使われます。具体的には、教師と生徒がリアルタイムに接続し、互いにコミュニケーションが取れる状態でのオンライン授業を指します。新型コロナウイルスの影響を受け、このような授業形態が広く注目されるようになりました。

そこで、次はオンライン授業における双方向授業について解説していきます。

双方向のオンライン授業のメリット

双方向のオンライン授業では、同じ日時に教師と生徒がインターネット上で集まり、授業が展開されます。これは、ライブ配信をイメージすると分かりやすいでしょう。単に教師が生徒に対して情報を伝達するだけでなく、生徒から教師に対してコメントや質問を寄せられます。

このため、双方向のオンライン授業では、活発なディスカッションやグループワークが実現します。また、従来のオフラインにおける授業に近いため、教師も生徒も違和感なくオンライン授業に参加できるでしょう。

双方向のオンライン授業のデメリット

双方向のオンライン授業にあるのはメリットばかりではありません。たとえば、ICT環境の問題があります。

双方向授業の場合、リアルタイムに教師と生徒がつながっているため、通信トラブルが生じた際の影響が大きくなります。途中で途切れてしまった生徒のフォローや、教師側でトラブルが起きた際、対処するのに時間がかかるでしょう。また、せっかく時間や場所に縛られにくいオンライン授業でありながら、特定の日時に参加しなければならないなど、制約が多いのもデメリットです。

双方向のオンライン授業に向いている内容とは?

双方向のオンライン授業は、生徒側が何らかのアクションを起こすことに意味のある内容に向いています。たとえば、数学の問題演習のように、1つの難しい問題に対して多角的なアプローチが必要な授業には適しているでしょう。また、答えのない問に対して複数人で話し合い、発表を行うような授業にも適しています。

オンライン授業におけるオンデマンド型授業とは?

オンデマンド型授業とは、ライブ配信とは大局的に、録画したコンテンツを視聴者がいつでも見られるような状態で配信する授業のことです。授業というより、映像形態の教材と表現したほうが正しいかもしれません。これにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。

オンデマンド型のオンライン授業のメリット

オンデマンド型オンライン授業の最大のメリットは、時間と場所の制約を受けないことです。学習者は好きなタイミングで映像にアクセスし、自らのペースで勉強できます。途中で一時停止したり、分からないところを繰り返し視聴したりすることもできるため、理解を深めやすいのもメリットです。

さらに、教師にとっては一度作成した教材を使いまわせるメリットもあります。毎年度同じことを学習者に教えなければならない場合、その都度リアルタイムの授業を行う必要性はありません。一度教材として映像を作成し、それを閲覧するよう学習者に指示しておくだけで事足ります。こうして空いた時間をさらなる教材作成や、学習者から寄せられる質問への対応へ当てれば、効率的な指導が実現するでしょう。

オンデマンド型のオンライン授業のデメリット

オンデマンド型授業のデメリットは、勉強が学習者任せになってしまうことです。リアルタイムに行う双方向のオンライン授業とは異なり、教師は学習者の学習状況を把握できません。適切なITツールを使えばオンライン上でも管理そのものは可能ですが、学習者の生の反応を体感として得られないのは、従来の授業に慣れた教師にとって不安材料の1つになるでしょう。

また、オンデマンド型のオンライン授業は、必然的に適用できる内容が限られます。ディスカッションのような双方向のコミュニケーションを必要とする学習には適用できません。

オンデマンド型のオンライン授業に向いている内容とは?

オンデマンド型オンライン授業は、効率的な知識の伝達に適しています。ディスカッションのようなコミュニケーションを必要としない、一般的な講義をオンラインで提供するのに向いていると言えるでしょう。

また、映像ならではの利点を活かし、実技を教えるのにも向いています。たとえば、ガスバーナーの使い方のように手元をしっかりと見せる必要がある授業では、オフラインよりもオンデマンド型オンライン授業の方が見やすく、復習も容易です。ただし、実践の機会は別途用意する必要があります。

まとめ

双方向授業とは、生徒と教師がコミュニケーションを取りながら進める授業のことです。カリキュラムの都合上難しいこともありますが、生徒により深い理解を促せる授業として注目されています。

また、オンライン授業における双方向授業とは、リアルタイムに行われるライブ配信形式の授業のことです。チャット機能などを用いて生徒が気軽に質問できることから、こちらも活発な授業を実現できる形態として注目されています。これらの授業を適切に取り入れ、学習効果の向上を目指しましょう。

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